導入事例

基幹系とインターネットを仮想化し
1台の端末で3系統を利用

湖南市 総務部 総務課 森岡 和也 課長補佐

滋賀県湖南市は、平成26年度にマイナンバー利用事務系(基幹系)のシステム更新の際、基幹系端末を仮想化。平成28年度には『自治体情報システム強靱性向上モデル』に基づき、LGWAN接続系からインターネットを分離し、仮想化されました。その後、令和元年度に基幹系端末のシンクライアントシステムを「SKYDIV Desktop Client」へ変更されました。この一連の整備の背景について、湖南市 総務部 総務課 森岡 和也 課長補佐にお話を伺いました。

ネットワーク分離環境におけるシンクライアントシステムの活用について、
大阪府 茨木市教育委員会様滋賀県 湖南市様奈良県 河合町様にお話しを伺いました。
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平成26年度、他自治体に先駆けて基幹系端末を仮想化

当市では、『自治体情報システム強靱性向上モデル(以下、強靱性向上モデル)』が提唱される前の平成26年度に、海外製のシンクライアントシステムを使ってマイナンバー利用事務系(以下、基幹系)の端末をVDI方式で仮想化。それを、行政事務に特化したLGWAN接続系(以下、LGWAN系)の物理端末で利用してきました。

その後、強靱性向上モデルが示されたことを受け、平成28年度にLGWAN系からインターネットを分離することになり、インターネット接続系端末(以下、インターネット系)をSBC方式で仮想化し、これもLGWAN系の物理端末で利用できるようにしました。

当市で使用しているLGWAN系端末は、ノートPCです。無線LANに接続しているので、庁内のどこにいても1台の端末を持ち運ぶだけで基幹系とLGWAN系、インターネット系のすべてが利用できる利点があります。さらに基幹系に採用しているVDI方式ならば、各ユーザーが独立した仮想デスクトップを利用することができ、自由度が高いので物理端末と遜色ない活用ができます。しかし、非常に高価なことが大きな課題となっていました。

当市は、隣接する8市で構成する「おうみ自治体クラウド協議会(以下、自治体クラウド)」に参画しており、そのなかで各種システムや機器の共同調達も行っています。自治体クラウドに参画しているほかの市では基幹系に物理端末を使用しており、VDI方式による仮想化にかかる費用は想定されていなかったため、当市の予算だけが大きくなることが懸念されていました。

基幹系端末の更新のタイミングで、VDIの各クライアントのOSにサーバーOS(Windows Server)を利用することで、コストを抑えられないかを検討し始めたころ、ちょうど来庁していたSky株式会社の担当者から「SKYDIV Desktop Client」を紹介されました。

【図1】

いざというときにはFace to Faceで問題に対処できる
安心感があることは大きなポイントです。

システムの安定性はもちろん、メーカーの信頼性も重要な要素

Sky株式会社の担当者が当市の要望を持ち帰り、調査と検討をした上で、当市の規模と条件に応じた概算の導入費用を提示。この方法なら、一定のコストが抑えられると判断しました。しかし、その時点では「SKYDIV Desktop Client」がまだ新しいシステムのため、機能が限定されていることや、基幹系ネットワークでの運用実績がないことなどを、危ぶむ気持ちがあったことは確かです。

証明書発行などの基幹系の住民情報にアクセスして行う業務は、トラブルによって長時間にわたり業務が止まるといった事態は許されません。そのため、動作の安定性が第一条件です。もちろん、システムに多少の不具合はつきものですので、万が一のため各窓口には物理端末も用意していますが、可能な限り安定して使えるものでなくてはいけません。

安定性に対する不安を拭った要素は、「SKYSEA Client View」の運用を通じて実感しているメーカーとしての信頼性に尽きると言えます。海外製のシステムを使っていると、販売会社を通じて問い合わせをしても、いつまでも回答や現状報告がないということも少なくありません。それは、毎回来庁して対応してくれなければ困るということではなく、担当者の顔がわかり、いざというときにはFace to Faceでコミュニケーションを取って問題に対処できる安心感があることは大きなポイントです。

さらに販売会社も、サーバーOS上でも基幹系端末で使用しているソフトウェアが問題なく使用できるのかという検証に骨を折ってくれたことも含め、システムを乗り換えることを決めました。

市民サービスにも直結する職員の業務効率を損なわない仕組みを

現在(取材時)は10月からの本格稼働に向けて、2か月間の試験稼働中です。現時点では、基幹業務の担当課からの問い合わせはありません。一般的に、私どものような情報部門には「動作が不安定」「レスポンスが悪い」といった問題に対する問い合わせは集まりますが、「使いやすい」とか「快適だ」といった評価は寄せられないのが普通です。つまり、問い合わせがないということは、以前のシステムと比べて遜色なく活用できている証しだと言えます。

基幹系、LGWAN系、インターネット系の3系統を1台の物理端末で利用できるメリットは大きく、例えば、会議の場で住民情報を参照したいと思えば、手元の端末ですぐに情報が閲覧できるなど、業務効率が非常に高まります。そのメリットを得るために重要なのは、多くの機能が搭載されていることよりも、従来どおり変わらずストレスなく使えることです。

巧妙化が進むさまざまな攻撃から大切な市民の情報を守るため、ネットワーク分離などの対策は避けて通れません。また、そのほかの情報セキュリティ対策にも注力しなければならないのは当然です。

しかし、そのために手順が複雑になったり、システムが不安定になったりして業務効率に著しい支障が出れば、結果的に市民サービスへも影響が及びます。当市では、各部の代表職員が集まりシステムの導入や運用方法を検討する委員会があるので、情報セキュリティレベルの向上と業務の効率化のバランスについても、現場の意見を踏まえながら、よりよい対策につなげていきたいと考えています。

滋賀県 湖南市

滋賀県南部の甲賀地方に位置する湖南市は、大阪と名古屋からそれぞれ100km圏内にあり、近畿圏と中部圏をつなぐ広域交流拠点にあります。南端には阿星山系、北端には岩根山系の山々を望み、地域の中央には野洲川が流れています。古くは東海道五十三次の51番目の宿場が置かれ、近年は工業団地が立地、京阪神のベッドタウンとなっています。

(2019年8月取材 / 2020年1月掲載)

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