導入事例

従来の使用感を大きく変えない
ネットワーク分離をめざす

茨木市教育委員会 学校教育部教育センター 岡田 祥一 所長代理 新家 秀雄 主査

大阪府茨木市では、市内の小・中学校に約1,800台の校務用端末が整備されています。『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』に示された「ネットワーク分離」を実現しながらも校務や業務に支障がないよう、シンクライアントシステム「SKYDIV Desktop Client」を導入。今回の整備の背景について、茨木市教育委員会 学校教育部教育センター 岡田 祥一 所長代理と新家 秀雄 主査にお話を伺いました。

ネットワーク分離環境におけるシンクライアントシステムの活用について、
大阪府 茨木市教育委員会様滋賀県 湖南市様奈良県 河合町様にお話しを伺いました。
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子どもたちの情報を守るためにも、先生が「使いやすい仕組み」を

当市では、文部科学省から公表された『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』(以下、ガイドライン)を受け、まずは各学校に設置していたファイルサーバを教育センターに集約し、各学校と教育センターをつなぐ回線を見直すなど、さまざまな取り組みを行ってきました。ネットワーク分離の実現については、ガイドラインが公表された直後から検討を開始。当市にはどのような環境が適しているのかを議論するなかで、市内46校約26,000名の児童生徒の情報を確実に守るには、ガイドラインに示されたとおり、個人情報を取り扱う系統(校務系)とインターネットを利用する系統(校務外部接続系・学習系)を分離するほかないという結論に至りました。

このような学校に影響がある施策については、校長会などで一つずつ説明し、了承を得ながら進めてきました。先生たちも「校内の重要な情報を適切に守り、万が一にも漏えいや紛失があってはならない」ということは十分に理解してくれています。しかし同時に、そのために手順が増えたり複雑になったりすることは、最小限にとどめてもらいたいという要望も寄せられています。

教育センターとしても「既存のネットワークを壊さないこと」を大切にしてきました。児童生徒の学びが深まり、学校生活がより豊かになるには、先生方がその準備にあたる際に、ストレスなくインターネットを利用できることが欠かせないからです。そのために、従来の使用感と大きく変わらない「使いやすい仕組み」を提供することが、私たちの仕事だと考えています。

新たな仕組みやルールが導入されるタイミングは、
情報セキュリティの大切さを考える機会だとも言えます。

市長部局との連携で、シンクライアントシステムの導入を推進

当市の市役所本庁では、すでにマイナンバー利用事務系・LGWAN接続系とインターネットの分離が完了していました。そこで、市の情報システム課と連携し、教育センターからは教育現場の実態や要望を伝え、技術的な部分については情報システム課に主導してもらいながら検討を進めることに。教育センターの担当職員は基本的に教員ですので、ネットワークや情報システムに関する知識や経験に基づいた助言がなければ、困難な作業でした。特に、予算化に向けた財政課との協議にあたっては、情報システム課の技術的なサポートが後押しになったことで、非常にスムーズに進められたと思います。

本庁では、インターネット接続系の端末を仮想化し、LGWAN接続系の端末で利用しています。私たちもこれと同等のセキュリティレベルを確保するため、インターネットを利用する校務外部接続系の端末を仮想化し、校務系の端末からアクセスするようにしました。こうすれば、従来どおり各自の校務用端末を使ってインターネットが利用できます。

仮想化を実現するシンクライアントシステムには、豊富な機能を持つ海外製品もありますが、当市は、学習活動ソフトウェア「SKYMENU」シリーズやクライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」を長年活用してきました。新たなシステムを導入するにあたっては、当市において長年の運用実績を持つメーカーの商品だということを重視。将来的な機能連携などへの期待も含めて「SKYDIV Desktop Client」が良いと考えました。そのほか、校務外部接続系から校務系にファイルを移動するときにファイルを無害化する仕組みや、大容量ファイルを転送する仕組みを整備しました。

【図1】

操作がシンプルなので、従来どおりの感覚でWebブラウザが使える

令和元年11月の本格稼働開始に先立ち、7月には各学校の代表者を対象に、実機画面を見せながら講義する形での説明会を実施。9月からは各学校でも試験稼働を開始しています。今(取材時)はまだ開始から2週間程度ですので、学校の意見や感想は聞けていませんが、私たちが使用した実感としては、「SKYDIV Desktop Client」の操作は非常にシンプルで、従来と変わらない感覚でWebブラウザが使えていると思います。

ただし、校務系・学習系という区分に、新たに校務外部接続系が加わったことによる戸惑いはあります。特に、校務外部接続系から校務系にファイルを移動する際、今どちらの系統にファイルが存在するのかが混乱してしまいます。これは運用を続けるなかで慣れるほかありませんが、まずは興味関心がある先生にリーダーとなって使ってもらい、そこから数か月かけて全体に広げていければと考えています。

今回、ネットワーク分離や仮想化のほかにUSBデバイスの使用についても新たなルールを定めました。使用するデバイスは学校所有のものに限り個別に事前申請してもらい、教育センターで審査した上で「SKYSEA Client View」に登録し、使用を許可するという運用に変更しました。こうした新たな仕組みやルールが導入されるタイミングは、あらためて情報セキュリティの大切さを考える機会だとも言えます。情報セキュリティや情報モラルの大切さについては日頃から啓発に努めていますが、今回の整備を機に、教職員の情報セキュリティ意識のさらなる向上につながるよう、引き続き取り組んでいきたいと思います。

大阪府 茨木市

大阪府北部の北摂三島地域に位置する茨木市は、人口が28万人を超え、小学校32校、中学校14校を有する北大阪の中核都市です。豊かな自然と交通の利便性に恵まれ、古くからの歴史遺産や文化的伝統が今も息づいています。現在は、「次なる茨木へ。」とのブランドメッセージを掲げ、未来に向かってより魅力的なまちづくりをめざしています。

(2019年9月取材 / 2020年1月掲載)

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