導入事例
技研電子株式会社様
技研電子株式会社様
技研電子株式会社様は、情報セキュリティ対策強化の一環として2014年に海外製のシンクライアントシステムを導入。約6年間の運用を通じて感じていた課題を解決するために「SKYDIV Desktop Client」への入れ替えを決定しました。同社のシンクライアントシステムの活用状況について、情報品質部 部長の納身 喜裕 様にお話を伺いました。
当社は、主要取引先を通じて、自治体の防災無線や携帯電話基地局などの設備の運用・保守に携わっています。多くの非公開情報を取り扱うため常に情報セキュリティ対策の強化が求められており、主要取引先の環境に倣って、2014年に海外メーカー製のシンクライアントシステムを導入しました。
シンクライアント環境であれば、機密性が高いデータもPC等の端末内に保持せず利用できます。保守業務のために1か月以上の長期出張をすることがある社員でも、外出先からノートPCやタブレット端末(iPad)を使って図面や指示書などが閲覧できるほか、社内ネットワーク以外からのアクセスを制限している各種社内システムも利用できるようになるなど、情報セキュリティレベルを高めながら利便性の向上を実現することができました。
当時、シンクライアントシステムの利用は社外での業務に携わっている社員のみを想定しており、Office系ソフトウェアや社内システムにアクセスするためのWebブラウザなどが使えれば十分でしたので、SBC方式で運用を始めました。
その後、運用を続けていくうちに「シンクライアントを利用したい」という声が増えてきたことからも、社員の多くがシンクライアント化のメリットを感じていたのだと思います。
ただ、管理者の立場ではいくつかの課題を感じていました。例えば、海外製品ということもあり管理コンソールに記載されている日本語が難解だったこと。また、多機能である分、各種設定の手順がとても複雑だったことです。
いずれも慣れてしまえば大きな問題ではないのですが、新しい設定をするたびにマニュアルを確認しなければなりませんし、今後、人事異動などでシステム管理者が交代することがあると、引き継ぎに時間が掛かるだろうという懸念もありました。
シンクライアントの利用メリットが社内に浸透するに従って、利用者の拡大を検討することになりました。そこで、SBC方式の同時接続数を拡大すると同時に、管理職層約50名を対象にVDI方式でのシンクライアント環境を用意することを計画。それを機に、既設システム以外の商品の情報を集め始めたときに、Sky株式会社主催のユーザーイベントで「SKYDIV Desktop Client」を知りました。
当社は、情報セキュリティ対策強化の一環で、2015年から同社の「SKYSEA Client View」を導入していました。両商品には、管理コンソールのUIやメニューの構成など共通点が多く、初見でも「使いやすそうだ」と感じました。実際にテスト環境で操作してみたのですが、「SKYSEA Client View」を使い慣れていれば、ある程度の操作ができました。加えて、管理コンソールのボタンで機能や設定項目の補足説明が確認できるので、いちいちマニュアルを見なくても済みます。説明もわかりやすい言葉で書かれていて、導入後に操作に慣れるまではかなり重宝しました。
導入検討を進めていた2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響による社会的な要請として、テレワークの推進が求められるように。当社は現場を訪問する業務が多いため、テレワークの完全実施は難しいですが、かねてよりDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組んできたこともあり、社内のシンクライアントの利用数を増やして、どこにいても安全に仕事に取り組める環境をつくることになりました。「SKYDIV Desktop Client」ならば、利用形態に応じてSBC方式とVDI方式を併用することで、ライセンス費用が想定範囲内に抑えられたこともあり、既設システムとの入れ替えを決定し、2021年4月よりSBC方式での運用を先行して開始しました。
システムの移行は、おおよそ3週間程度で完了しました。といっても、Active Directoryと連携し、ドメイン環境で「SKYDIV Desktop Client」をインストールしているので、ユーザーや組織の情報はそのまま移管できました。環境構築も、販売会社とSky株式会社のSEに依頼しましたので、基本的にはすべてお任せしました。事前の打ち合わせも数回で済みましたので、管理者の負担はほぼありませんでした。利用者に対してもクライアントソフトウェアのインストール手順書を配付するだけで、大きなトラブルなく運用を開始できたのはありがたかったです。
運用開始後、利用者が「SKYDIV Desktop Client」にログインしたとき「以前よりもデスクトップが表示されるまでの時間が短くなった」という話を複数の社員から聞きました。同時接続数やサーバー台数が異なるため単純な比較はできませんが、利用者がシステム入れ替えのメリットを実感してくれていることは、管理者としてもうれしいです。特に、当社の社員は山間部などの通信環境が良くない環境で業務を行うことが少なくないので、そうした環境でも動作やレスポンスにストレスを感じないことは高く評価できるポイントだと思います。
また、管理者が運用しやすくなるように、さまざまな工夫が施されていることも評価しています。「SKYDIV Desktop Client」では、利用者の端末で何かしらのエラーが発生したときのメッセージに「問い合わせ番号」が表示されます。これは、いわゆるエラーコードのようなものですが、利用者はボタン一つで番号をクリップボードにコピーできるようになっており、メールやメッセンジャーなどを使って管理者に「問い合わせ番号」を伝えることができます。
管理者は、管理コンソールで「問い合わせ番号」を入力して検索すると、すぐにトラブルの症状や対処方法が確認できます。Sky株式会社のユーザーサポートに問い合わせなくても、利用者からの問い合わせに一次回答ができるので、とても重宝しています。
各サーバーのメモリやCPUの負荷状況が、視覚的に確認できるのも便利です。シンクライアント環境では、1人の利用者が非常に容量の大きなファイルを使用するなどして、リソースを過度に消費してしまい、ほかの利用者に影響が及ぶことがあります。「SKYDIV Desktop Client」では、各サーバーの負荷状況がリアルタイムに確認できるほか、しきい値を設定しておけば、負荷が高まったときに管理者に通知されるので、すぐに対処することができます。また、パスワードの有効期限切れなどで、利用者がログインに失敗したときも通知されるので、問い合わせがあってから慌てて確認するのではなく、先回りして利用者に更新を促すことができます。
シンクライアントシステムは、運用が始まれば頻繁に触るシステムではないだけに、このような決して派手ではなくても、管理しやすくなる工夫がいくつも施されていることが、管理者の負担軽減に役立っていることを実感しています。
「SKYDIV Desktop Client」への入れ替えのきっかけになったVDI方式の利用は現在準備中ですが、SBC方式とVDI方式の併用が軌道に乗れば、将来的には全社員の端末をシンクライアント化することも視野に入れています。
当然、利用者のライセンス数が増えれば、保守契約にかかるコストも増えます。以前は単年度契約だったため、契約更新時に保守費用が大きく変動することもありました。「SKYDIV Desktop Client」は複数年の保守契約もでき、できる限り事情に応じて柔軟に対応してもらえるので、予算計画が立てやすいこともポイントです。DX推進に取り組むなか、当社は今後も積極的にIT投資を続けていくことになると思われます。だからこそ、計画的で無駄のない投資をしていきたいと思っています。
「SKYDIV Desktop Client」にもユーザーの要望やトレンドの変化を取り入れながら、さらに運用しやすく、利便性が高いシンクライアントシステムへと進化していくことを期待しています。